今回は、2020年3月に発売され、作家生活35周年を迎えた東野圭吾最新作『クスノキの番人』です!
解雇された職場に無断侵入したことで逮捕された玲斗は助けてくれた伯母・千舟からクスノキの番人をするように命じられます。クスノキに祈ると願いが叶うと言われていますが、そのクスノキに願う人々は様々な問題を抱えていて……。
その木に祈れば、願いが叶うと言われるのはなぜか。
『クスノキの番人』作品情報
- 作品名:クスノキの番人
- 著者名:東野圭吾
- 出版社:実業之日本社
- ページ数:456ページ
- 初版:2020年3月
著者紹介
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。
1981年にエンジニアとして日本電装株式会社(現デンソー)に入社し勤務する傍ら、推理小説を執筆。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞、2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。
現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズや『手紙』『ラプラスの魔女』『人魚の眠る家』『マスカレード・ホテル』など多数。
あらすじ
ここからはあらすじを紹介します。
重要なネタバレはないので、未読の方も安心して読み進めることができます!(^^)!
崖っぷちを救ってくれたのは

不当な理由で会社を解雇された玲斗(れいと)は、腹いせに職場に無断で侵入し会社の所有物を盗もうとしますが、あえなく発見され送検、起訴を待つ身となってしまいます。
そこへ突然弁護士が現れ、ある依頼人の命令を聞くのであれば釈放する算段をつけると言うのです。このままでは間違いなく刑務所入りだと悟った玲斗は依頼人の正体も知らないまま弁護士に釈放してもらえるようお願いします。
ホテルで待っていた人物

無事釈放された玲斗は、弁護士を手配した依頼人に呼ばれホテルの一室で会うことになります。そこには千舟(ちふね)と名乗る年配の女性がおり、その女性は玲斗の伯母であると告白します。そして、千舟は玲斗にある仕事を依頼するのです。
すると千舟は、大切なことを宣告するので決して聞き逃さないように、とでもいうように背筋をぴんと伸ばし、胸を大きく上下させて呼吸してから口を開いた。
「あなたにしてもらいたいこと。それはクスノキの番人です」
『クスノキの番人』30ページ(実業之日本社)
クスノキの不思議な力

クスノキの番人を任されたものの、人々がなぜクスノキのもとへ訪れ祈りを捧げるのか、そしてクスノキがどうやって願いを叶えるのかを聞かされることもなく、自分で確かめるよう言われる玲斗。
果たして玲斗はどのようにしてクスノキの持つ不思議な力を知るのでしょうか。
感想
クスノキの番人をすることによって、玲斗がクスノキに祈りを捧げにくる人たちの支援を通じ、人間的に成長していく様が物語の中核になっています。
そして、終盤には千舟と玲斗の過去に秘められた家族の秘密を知ることに。
こうした人間模様に触れ、読後には、毎日顔を合わせる家族や仲のよい友人といった関わりのある人たちとの縁を大切にしたくなる作品だなあと思いました。
東野圭吾の新しい代表作とも名高い『クスノキの番人』、皆さんも手に取ってみてはいかがでしょうか。
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