今回は第11回新井賞を受賞した小川糸さん著『ライオンのおやつ』をレビューします!
新井賞とは日本一有名な書店員である新井見枝香さんが設立した、今や芥川賞や直木賞受賞作品よりも売れる、話題性あふれる文学賞です。
33歳の若さにして余命宣告を受けた主人公が、ある島のホスピスで残された日々を過ごす中で考えたこととは。生きているすべての人に贈る、今が愛おしくなる物語です。
人生の最後に食べたい″おやつ″は、なんですか。
『ライオンのおやつ』作品情報
- 作品名:ライオンのおやつ
- 著者名:小川糸
- 出版社:ポプラ社
- ページ数:255ページ
- 初版:2019年10月
著者紹介
2008年『食堂かたつむり』でデビュー。
2010年の発表作『つるかめ助産院』が2012年にNHKにて仲里依紗主演でドラマ化。
2017年『ツバキ文具店』が本屋大賞4位に選ばれる。その後、NHKにて多部未華子主演でドラマ化。
小説家のほかにも、作詞家や翻訳家としても活躍中。
あらすじ
ここからは重要なネタバレなしの簡単なあらすじを紹介します!(^^)!
人生最期に過ごす場所

主人公の海野雫(うみのしずく)は末期ガンにより33歳の若さで余命宣告を受けます。
雫は残された時間を瀬戸内海にある島のホスピス施設・ライオンの家で過ごすことを決意。この日から、雫はライオンの家に入居している同じ境遇の人々との触れ合いを通して、これまでの人生について考えることになるのです。
おやつの時間

ライオンの家では、毎週日曜日に入居者がもう一度食べたいおやつをリクエストできる「おやつの時間」がありました。
ライオンの家で起こる様々なことで毎日泣いたり笑ったりして過ごしていた雫にも、病は進行し次第に体の自由を奪っていきます。
そんな中、ついに雫がリクエストした「おやつの時間」がやってくるのです。
感想
この作品を読み終えた時、不思議と読者である僕自身も当たり前に生きていることのありがたさを感じることができました。
誰かと喋ったり、おやつを食べたり、笑い合ったり。そんな毎日を過ごしていたライオンの家の入居者たちがある日を境にいなくなる。死ぬことは当たり前の毎日がなくなることなんだと改めて思いました。
でも、ライオンの家に入居している人々は雫も含めて「死ぬこと」を怖がっていませんでした。それは人生をどのように終わらせるかを真剣に考えて、より良い最期を迎えようとする意識がそうさせていたのかもしれません。
「今をどう生きるか」を考えるきっかけを与えてくれる作品です。読み終わった後、きっと生きていることが愛しくなります。
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