1990年代の日本社会を駆け抜ける疾走感『平成トム・ソーヤー』

小説作品
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28年前の作品『平成トム・ソーヤー』を今回はレビューします!(^^)!

高校3年生のノムラノブオは、超能力とも呼ぶべきスリの天才。そんな彼の力に目をつけた同級生・スウガクと他校の女子高生キクチ。三人は自らの未来を賭けた、大それた計画を企てるのです。

大都会の暗部を軽やかに疾走する、新世代の冒険小説。

『平成トム・ソーヤー』作品情報

  • 作品名:平成トム・ソーヤー
  • 著者名:原田宗典
  • 出版社:集英社
  • ページ数:331ページ
  • 初版:1992年11月

著者紹介

岡山県岡山市出身。早稲田大学第一文学部卒業。

1984年『おまえと暮らせない』が第8回すばる文学賞に入選。

その後も『優しくって少しばか』『スメル男』など次々と作品を発表。

妹はキュレーター、小説家の原田マハ。

あらすじ

ここからは未読の方にも安心して読んでいただける、簡単なあらすじを紹介します(^^)

スリの天才

出典元:ぱくたそ

高校三年生になるノムラノブオは一見平凡な高校生ですが、彼は常人では到底到達できないほど手先が器用でした。

その腕前に中学生の頃から自覚し始めた彼は、ゲームセンターのシューティングゲームでその実力を発揮して友人たちを驚かせていたのです。

そんな折、彼はふとしたきっかけでスリをしてしまいます。その時から彼はスリにおける天才的な才能を発揮することになるのです。

スウガクとの出会い

出典元:ぱくたそ

ノムラがいつものようにゲームセンターで時間を潰していると、背後から誰かに声をかけられます。正体は他クラスの生徒で模試で数学満点を取った男・蕪木(かぶらぎ)、通称・スウガクでした。

「先週の水曜日の夜だ。覚えてるだろう。ちょうど目白のあたりだ。焦げ茶色の安っぽいスーツを着たサラリーマンの内ポケットから、お前財布を抜いたよな。あっという間に。俺はあの時、お前の後ろ斜め四十五度のあたりにいて、じっと見てたんだよ」

(中略)

ぼくは大袈裟に首をかしげてみせた。その仕種のせいで、二機めがやれてしまった。激しい爆裂音が、足の下の方から響き渡ってくる。


『平成トム・ソーヤー』20ページ(集英社文庫)

そう、彼はノムラが電車の中でスリをしている現場を目撃したと言うのです。最初はとぼけるノムラでしたが、次第に追い詰められ、ついにはスウガクが立てた計画に巻き込まれることになるのです。

持ちかけられた計画とは?

出典元:ぱくたそ

スウガクからノムラに持ちられた計画とは、一流私大の入試問題を入試日より前に入手するという計画でした。

他校の不良高校生・島田浩一の父親でヤクザの島田幸吉が入試問題を印刷する印刷屋から裏ルートで入試問題を手に入れることを嗅ぎつけたスウガク。スウガクはノムラに入試問題の受け渡し現場で問題をスルように持ちかけるのですが……。

感想

この小説を取り上げたのは、ある書店員さんに原田宗典作品を教えていただいたことがきっかけだったのですが、今作『平成トム・ソーヤー』は約30年前の作品とは思えないほど現代文学にも通じる軽快さとテンポの良さがあり、とても楽しく読むことができました。

作品で登場する人物も、ウブだけどスリの天才・ノムラや計画のためなら危険なことも顧みないスウガクなど、それぞれのキャラクターの個性が際立っているのが印象に残っています。

高校生特有の青春らしさと犯罪を秘密裏に実行しているヒリヒリ感が、作者の疾走感あふれる筆致で見事に描かれております。

原田宗典作品の入り口としても、とってもオススメな一冊です!

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