累計50万部突破! 今秋に映画化も控える西加奈子著『さくら』家族を失った先に僕たちは何を見るのか。

小説作品
URLリンク:Amazon

今回は作者の名前を広げた西加奈子さんの代表作『さくら』を紹介します(^_^)/

累計50万部を突破し、今年の秋には今をときめく若手俳優・北村匠海×小松菜奈×吉沢亮の豪華キャストで映画化も控えている、変化し続ける家族と一匹の犬の物語です。

あるちっぽけな家族に起こった、ひとつの奇蹟。

出典元:Twitter

『さくら』作品情報

  • 作品名:さくら
  • 著者名:西加奈子
  • 出版社:小学館
  • ページ数:384ページ
  • 初版:2005年2月

著者紹介

イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ育ち。関西大学卒業。

2004年、出版社への持ち込み原稿『あおい』でデビュー。

2013年、宮崎あおい・向井理主演で著作『きいろいゾウ』が映画化される。

2015年、『サラバ!』で第152回直木賞受賞。

あらすじ

ここからは未読の方も安心して読み進められるあらすじを紹介します!(^^)!

薫の家族

出典元:O-DAN

薫(かおる)は穏やかな父と声の大きい母、そして、兄の一(はじめ)と妹の美貴(みき)、そして飼い犬のサクラとともに暮らしていました。

薫は、いつもみんなの人気者だった一と誰もが振り返る超美形の美貴とともに、三人は幼少期からたくさんの経験をします。その経験で関わったのは、孫を可愛がる祖母や、近くの公園に出没する足の速い男・フェラーリ、飼い犬のサクラを診察した変わった獣医、一の年上の無表情な恋人、美貴に好意を寄せる同性の女の子でした。濃厚な経験の数々を三人は共有しながら、それぞれ乗り越えていくのです。

しかし、ある日を境に家族はバラバラになってしまいます。

兄の死

出典元:O-DAN

一はあることがきっかけで20歳と4ヶ月の時、自殺してしまいます。

一の死後、父は家出し、母は太り始め、薫は東京に行き、美貴は部屋に引きこもりました。飼い犬のサクラも12歳になり、すっかり老犬になっていました。

昔の面影がなくなってしまった家族は、どのように再生していくのでしょうか。

感想

この作品は、一言でいうと家族の崩壊と再生の物語です。その崩壊と再生までに起こった出来事や身の周りの人たちの変化を『さくら』では丁寧に描いています。

兄妹の一や美貴はもちろん、薫の身の回りの人物たちは非常に個性の強いキャラクターばかりが登場します。こんなにキャラクターが強い人ばかり集まると読んでいて非現実感もあったのですが、自らを平凡だと思い込む薫との対比なのではないかとも感じました。

また、西加奈子さんの描く比喩表現には読者を一気に作品の世界へ引き込む不思議な力があります。例えば、飼い犬・サクラの成長について書かれた文章を見てみましょう。

家に来た頃のサクラは、いつも玄関で寝ていた。最初は「ぶたしめじ」の段ボールで眠って、サクラが大きくなるにつれそれは、「にんじん」「はくさい」「エリエールティシュー」になった。「アサヒウーロン茶」に入りきらなくなったとき、サクラは初めて外で眠った。

『さくら』141ページ(小学館文庫)

段ボールだけでサクラが大きくなっていく過程を表しています。こんな風に、西加奈子さんの比喩表現は読者の想像を掻き立てながら、美貴が生まれて初めて自らの足で立った場面や、いつも明るい母親が泣く場面などを鮮明に描き出します。

物語のキーでもある一の死。一の死については早い段階で作中で述べられますが、一が死んだ後の、家族が崩壊していく過程は涙なしでは読めません。それは薫たち兄妹が幼少期の頃から物語が描かれているので、読み進めていくうちに自然と感情移入しているからです。

そんな崩壊から再生までをずっと見守っていたのが、サクラです。家族全員が変わっていく中、サクラだけが変わらずにただ年老いていきます。変わっていく日常と変わらない日常。そんな対比が、この作品を際立たせているように思います。

作中で一は自らに降りかかった悲劇を「神様は最近、悪送球ばかり投げてくる」と述べていますが、薫たちがその言葉への返事を見つけるラストは忘れられません。現実が非常に苦しいものでも次の幸せを見つけていく力を、僕たち人間は持ち合わせていることをこの作品から学び取ることができました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました