今回はテレビ美術制作会社に勤める傍ら、作家としてデビューした燃え殻さんの『ボクたちはみんな大人になれなかった』をレビューします!
燃え殻さんは、作家としてデビューする前から何気ない日常をTwitterで抒情的に呟く「140字の文学者」として人気があった人なんだよ。
今作も燃え殻さんのエモい文章が炸裂しているね。
『ボクたちはみんな大人になれなかった』作品情報
- 作品名:ボクたちはみんな大人になれなかった
- 著者名:燃え殻
- 出版社:新潮社
- ページ数:160ページ
- 初版:2017年6月
著者紹介
都内のテレビ美術制作会社で企画デザインを担当。
2017年、ウェブサイト「cakes」での連載をまとめた『ボクたちはみんな大人になれなかった』で作家デビュー。
あらすじ
さあて、ここからは簡単にあらすじを紹介になるぜ!
この作品は燃え殻さんの過去と現在を語った自伝的小説なんだ。
あの頃の彼女へ「友達申請」

17年前の渋谷。″ボク″が大好きだった彼女は別れ際に「今度、CD持ってくるね」と言った以降、顔を合わせることはなかった。
17年後の満員電車の中、43歳になった″ボク″はあの頃の彼女にフェイスブックの「友達申請」を送信してしまっていた。
何もなかった20代

怪しいアルバイトに応募したことから零細のテレビ美術制作会社に入るものの、徹夜続きの毎日。夢やお金がなかった二度と戻りたくなかったはずの20代の頃が、なぜか″ボク″には輝き始めていた。
あの頃から40代になった″ボク″は大人になれたのだろうか。
感想
作品の魅力はなんといっても燃え殻さんの文章です。
若い頃のうまくいかない悔しさや世の中に流れまいとする気持ちを、情緒的に描いているのが印象的でした。
さすがTwitterで有名人になった人だなぁと感じる文章でした。
ほかにも、燃え殻さんが過ごした1990年代の音楽や映画が登場するので、その時代に青春を過ごした読者に刺さる描写がありましたね。
カレーを食べるのに忙しいボクにとっては、各章がそれぞれ10ページ程度に収まっているから読みやすかったのがとってもよかった。エッセイみたいにサクサク読めるのも魅力の一つに追加で!
俺はやっぱり大切に思っていた人が変わっていた寂しさを感じつつも、自分も社会全体も変わり続ける心理描写が響いたな。
大切な人と過ごした幸せを抱えて生きる大人を、大人になりきれなかった部分も含めて愛しく感じたよ。
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